2015年11月19日木曜日

母野宮子のディスクレビュー其の三:HUH『HELL HELL YOU,HOLY HOLY ME』

竿竹屋はなぜ潰れないのかどうかはどうでもよくて、僕が話したいのは人はなぜギターを壊すのかって話。
二十歳くらいの頃に某フェスでトリを務めたくるりのライブを観た。
岸田繁は前日から風邪をひいていたため高熱があって喉もやられているとMCで話した。
その声色からはプロとしてのプライドと悔しさみたいなものを感じた、ような気がした。
最初から決めていたのか知る由もないが、その時のライブでくるりが最後に演奏した曲は『街』だった。
風邪をひいている人間が歌うような曲じゃないのは周知の事実だった。

『街』は当時のくるりの曲の中でも最も高音と声量が必要とされる曲だったと思う。(多分)
まるで喉を壊そうとしているかのように、岸田繁はその曲を熱唱した。
そして最終的に壊れたのは喉ではなくて、その時弾いていたギターだったのだ。
演奏が終わり、床に打ちつけられたギターの悲鳴が会場に響き渡った。
メンバーはステージから去り、暫くの間、その破壊されたギターは唸りを上げていた。
フェスのトリという事で、当然アンコールがあるものだとみんな思い込んでいて、ギターの音を掻き消すように観客はアンコールの要求を意味する手拍子を続けた。
最終的にステージに現れたのはくるりではなく、そのフェスのスタッフで、彼がギターの騒音を止めた瞬間に、アンコールが行われない事を誰もが察した。

十年近く前の事だが、結構鮮明に覚えている。

それはギターが破壊されたからなのか?

僕みたいに当時の事を忘れずに覚えている人は結構いるかもしれない。
でも、それが壊されたギターの代償なんだとしたら、それって格好いい事なのかな?って疑問に感じてしまう節もある。
もちろん、岸田繁は格好付けるためにギターを壊したわけじゃないと思うけど。
HUHというバンドの話をする前にくるりの話を持ち出す人間はこの世に僕一人しかいないと思うし、僕のブログを熱心に読んでくれる人の中でもHUHを知ってるって人は少ないはずだ。
ジャンルにこだわらずに活動を続けているハハノシキュウではあるけど、違ったジャンルでの活動が回り回って一つに身を結ぶ事は多くない。
MC BATTLEの時のハハノシキュウしか知らない人もいれば、おやすみホログラムに混じってるハハノシキュウしか知らない人だっている。
DOTAMAの横にいるハハノシキュウしか知らない人もいれば、アイドルの作詞をしているハハノシキュウしか知らない人だっている。
そして、もちろんHUHと一緒にライブしてるハハノシキュウしか知らない人も結構いる。

なんでなんだか、僕が関わりを持ってる人たちが続けてアルバムをリリースする時期らしく、ぷよぷよで言うところのアイスストーン、即ち3連鎖目がこのHUHのアルバムというわけになる。
過去二回含めてディスクレビューとか言って、そんなにレビューできてないし、肯定的な事しか書いてないから「はいはい、またお友達のステマですか?」なんて思われるかもしれない。
でも、くるりの話を読んだ挙句、惰性でここまで僕の文章を読んでしまったあなたはすでに手遅れだと思う。
だって、HUHのギター担当テラダキョウスケは幾度となくギターを壊してきた人間なんだから。
僕は僕の知り合いの中で自分が一番まともな人間だと思って生きている。
逆に言えば、僕の交友関係の中にまともな人間だと思える人間はほぼいない(よく、DOTAMAさんはまともそうなんて話を聞くが、あの人はあの人でかなりイカれてる)
そんな中で、普通に喋ってて一番まともだなと思うのがHUHのテラダキョウスケだ。
そんな彼がギターを壊すんだから、もう何がまともなのかわからないというのが本音ではある。
僕が、HUHを格好いいと思う理由はだいたい百個くらいあって、今はその一つ目しか話さないけど、こんな感じだ。


観客が四、五人しかいないスタジオライブでギターを壊した事がある。

僕は生でそれを観たわけじゃないけど、話に聞いただけで、格好いい!と思った。
だって、観客が四、五人しかいない状況でギターを壊すって事は、壊す時点で私利私欲や媚びが全くないって意味にとれるからだ。
自分がもしもギターを壊すんだったら、最も大きな会場で最も美味しい場面で壊すんだと思う。そもそも、HUHのライブにはこの「美味しい」という価値観が無い。

ギターを壊した事によって代償を何も得ないのに、またギターを壊してしまう。
何が彼をそうさせるのかは正直全くわからないけど、カッケー!って僕は思う。
楽器を大事にしろとかそういうモラル的な話は今は関係ない。

HUHってそもそもどういうバンドなの?って少しでもここまで読んで興味を持ってくれたらありがたい。
ここから先、とても説明しがいがある。


HUHはテラダキョウスケ(ギター)とモリタクマ(ドラムス)の二人によるオルタナロック/ハードコア/フリーフォーク/ノイズ…様々な要素を取り込み、フリーフォームで即興的にコラージュする東京アヴァン・デュオ。
即ちインプロデュオである。
インプロデュオというのは、簡単に言うと即興しかやらない二人組って事だ。
しかも、その即興ときたら定型を一切叩かないドラムと、破壊的なギター、そして二人のシャウト。
音楽は首を振って聴くもんだと思ってる人は是非ともライブに脚を運んで欲しい。
そんなHUHに混ざってハハノシキュウも時々、インプロラッパーとして参加させていただいている。
現時点でHUHと一緒にライブできるラッパーはハハノシキュウしかいないような気がしてると少しだけ自分を褒めておきたい。
そんなHUHが全国流通でアルバムを出すのだ。
ここまで読んでくれた人はおそらく察してくれていると思うが、そんなHUHのディスクレビューを書くなんて無意味な事なのだ。
言葉で括られるような音楽をやってない二人だ。

だから僕も敬意を表して、言葉では括らない。
だからこれ以上は特に言う事はない。

あっ、強いて一つ言えば、ドラムのモリさんが一番ヤバイ。












2015 11/18 Release!!!!!!!!! 

New Album

1. Entropy (Ver.1)
 2. Folly
 3. Sink Or Swim
 4. 84D M00N DVNC1NG
 5. Boyz teach it
 7. Wriggles
 8. Domination
 9. Fuyu no Tabigarasu
10. Vein
11. Nata de coco
12. Bottom of the valley
13. Echo Echo Other Luck
14. Satanic Somethings
15. Long skit -the lottery- (Remix)
16. Shit Freak Club 
17. Beats for our canals 

¥1500 (tax in) / 解説:Cal Lyall 対訳:青木竜太郎
OOOs-19 / OOO SOUND

 -取扱店-
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 -各店舗共通特典 (実店舗のみ) -
■ "変なドレスMIX" / "Beats for our canals" feat. ハハノシキュウ 2曲収録 CD-R