2015年3月14日土曜日

ハンズレ

君の人生に影響を与える文章を書かないといけない。
君の年齢を四捨五入して小学四年生なら尚更。

色の表現法として一般的なCMYK。
シアンとマゼンタとイエローとブラックの四色の割合でカラー写真などの色彩が表現されている。
これがオフセット印刷となるとそれぞれCMYKと四枚の刷版が必要になる。
この四枚の刷版にそれぞれのインクを仕込んで刷る。
この時、四枚の刷版が綺麗に重ならないと印刷は台無しになる。
コンマ一ミリでも見当がズレると非常に不恰好な見栄えになるのだ。
この複数の刷版を使用した印刷の際に刷版の位置がズレて失敗する事をハンズレと呼ぶ。

前置きがちょっと退屈な滑り出しだったかもしれないが、これからが本題だ。
僕は人生において反抗期というものを通過した経験がない。
あえて言えば、エムシーバトルに積極的に出場し始めた位の頃が反抗期かもしれない。
最も人生を大きく左右するであろう大学三年生くらいの時に僕はもしかしたらズレ込んだ反抗期を拗らせたのかもしれない。
それを印刷で言うところのハンズレに例えて自分の中のCMYKを見つめてみようと思ったわけだ。
そして、拗らせた分だけ言い訳をしようと思ったわけだ。

僕は生まれてこのかた一度たりとも父親に逆らった事がない。
理由は怖いからだ。
怖いというのはちょっとガキっぽい言い方になるから少し変えると、論理的にも精神的にも勝ち目がないからだ。
言い方も言ってる内容も、エムシーバトルに例えるならアンサーの返しようない強みを持っているのだ。
今思えば、会社の上司が部下を追い詰める時のような正論の使い方だったかもしれない。
何ていうか、ハンターハンターのキルアじゃないけど、頭にイルミの針みたいな何かが刺さっているような気がするのだ。(よくわからない人はハンターハンターを読んでください)

何かに一度でも強く逆らった事のある人間の持ってる開放感というか、自分が間違ってたとしても後に引けない正義感を僕は今更になって羨ましく感じる。
妹も弟もなんだかんだで、わがままになって何に対しても癇癪を起こしている時期があった。
僕はいつだってフラットで、従順で、性根が捻くれてる割には人の言う事は素直に聞いてきた方なのである。

ところがエムシーバトルに出て、やりたい放題に人の悪口を言いまくった所でタガが外れたのがはっきりとわかった。
多分、誰でも腹の中に人柱力的なバケモノを飼っていて、そいつを定期的に散歩に連れてったり、たまに酒を飲ませてあげたりする事で、上手く飼い慣らせてるんだろうけど。
飼い慣らしたり躾をしたりするべき思春期を大きく通り過ぎてズレ込んでしまった僕の中のモンスターは、リーダーバッチを持たないままレベルの高いポケモンを操ろうとしてる感じで、全然言う事を聞いてはくれなかった。
これがハンズレだ。
僕にとってエムシーバトルは自己解放なのだ。ズレてしまったCMYKを重ね合わせた結果だ。

そして、現在の僕は父親の期待(んなもんあったのかどうかすら知らんが)に全く応えられず、何のために大学に行かせてやったんだと陰口叩かれてるのを聞こえないふりをしながら、金にならない事ばかりに夢中になって、盛大な長い長い反抗期の真っ最中である。
ただ、はっきりと言わせてもらえば
僕は割と幸せだ。
僕はネガティヴを売りにして後ろ向きな事ばかりを口にしているが、幸福感のハードルがとても低い人間だ。
ファミリーマートのティラミスを一気食いしただけで、その日一日がハッピーに感じるくらいに。
基本的に贅沢をする事に興味がない。自分の物差しに自信が無いから物のクオリティーや価値にそこまでこだわりがない。
というか、この日本て国は舌を肥やしすぎなきゃ大体何でも美味いと思うし、自分の好みとか楽しみ方さえわかっていれば、そこまで金をかけて色んな経験をしなくてもまあまあ満足できる。
反抗期がズレたって言ったは言ったけど、もしかしたらまだ反抗期が来てないかもしれない。
何でも自分の思い通りにならないと気が済まない貪欲さ、わがまま。
そういう気持ちがよくわからないままだからだ。
割と何でも、ああそんなんだ、じゃあ我慢すりゃいいか。
なんて受け入れちゃうタチだから、本当に無自覚にバケモノの持ってるゲージが溜まってるんだろうっては思う。
エムシーバトルに出る度にそれを少し減らしてるだけ。
ストレスとは全然違うやつ。
要は、思春期にハンズレを起こしたまま印刷されちまったのに、刷り直しが利かない年齢までそれに気付かなかったって事だ。

以上、僕がラップしてる時にリズムがズレやすい言い訳でした。